ティッシュペーパーはカルス形成を保護するバイオテクノロジーの必需品!?
カルスって何?
いきなり「カルス」と言われても何言ってるの?
難しくてよく分からない!
と、言われそうですので簡単に説明。
とても簡単に言えば「植物のiPS細胞」です。
ちなみにiPS細胞の「i」はiPhoneを参考にして付けた名前だということです。
人間のあらゆる細胞に変化することができる万能細胞です。
皮膚や髪の毛や臓器や骨など、、、
もうドナーのことで悩む必要がなくなるというバイオテクノロジーをひっくり返した技術です。
さて、植物の「カルス」についてですが、
「固形培地上等で培養されている分化していない状態の植物細胞の塊。植物細胞の分化は何種類かの植物ホルモンの濃度比によって制御される。」(Wikipedia)
という記述があります。こちらも万能細胞ですね。
実物はこんな感じのものです。
こんなの見たこと無い!
と、思うかもしれませんが、実は日常的によく見ています。
この樹木の切り口の盛り上がっている細胞の塊です。
樹皮でもなく、新芽でもなく、何になるのかよく分からない細胞の塊が切り口で増殖して細菌が入ってこないように木が自分を守るために作っているものです。
この技術を使えばクローン植物が作り放題です。
こんな感じで実験室や植物工場の瓶の中でいくらでも同じ植物を増やすことができます。
これはとてもシンプルで簡単な技術なのです。
こういうことで高級な観賞用植物を無限に増やせてしまうので、音楽の著作権のように育種権というものが存在していて、25年や30年間は守られていて勝手に増殖して販売することは禁じられています。
趣味や実験や新しい品種の元親として増やすことは許可されています。
だいぶ優しい法律です。
人類にとってはバイオテクノロジーの進歩が大事ですから、育種した人にある程度の報酬が入ったらあとはみんなの資産だというイメージです。
文章は著作権はかなり強く守られていますが。
そして、このバイオテクノロジーを使ったクローン栽培も実はほとんどの園芸好きな人はすでに実践しています。
挿し木はカルスを利用したクローン栽培技術
よくこんな感じで挿し木をすることがあると思います。
ガーデニング愛好家の方なら1回はやったことがあるでしょう。
趣味で行う分にはどんな品種でも問題ありません。メルカリなどで販売すると罰則を受けることになります。
さて、
この挿し木でカルスが形成されています。
挿し木断面に見られるカルスの形成
こんな感じで穂木を挿し木しておくとしばらく経つとこんな感じでカルスが形成されてきます。
これをカルスと言わずなんと言うのか?
もしかしたらカルスじゃないという専門家の意見もありそうですが、ここは一般的にカルスだと信じられているのでカルスということにします。
このカルスが植物ホルモンのバランスによって根に変化して発根していくのです。
この時点で発根促進剤の植物ホルモン「ルートン」出番でしょうか?
ここまで来て今更「ルートン」を使う必要はありません。ほぼ100%成功します。
ルートンを付けても意味がないとか、枯れたというのは、ようするに付ける時期が早すぎるのでしょう。
まだ、万能細胞であるカルスが形成されていないのに植物ホルモンだけ与えても樹皮や茎の道管などの細胞が根に変化するはずもありません。
まずはカルス形成が先です。
カルスから根が形成される様子
不規則に盛り上がった細胞の塊の中からまっすぐに伸びた根の発生初期の様子が伺えます。
これを発根の初期状態というのでしょう。
カルスから根が形成された瞬間です。
穂木の断面にティッシュペーパー巻いてカルスが形成されるまで保護する!
なんで、こんなことするの?と思われてしまいそうですが、ティッシュペーパーで穂木の断面を巻くことはとても理にかなっているといえます。
- ティッシュペーパーが水分を保持して枯れることを防いでくれる
- 穂木の切り口は植物の体内がむき出しの状態なので、これを無菌に近いとはいえ培養土に挿し木するのは危険!
- ティッシュペーパーは100%バージンパルプで清潔で綺麗な植物細胞でできているため植物の人工樹皮といえる
- 細菌の侵入を防ぎ、乾燥も防ぎ、植物体からできた皮なのでカルス形成を邪魔することが少ない
- 根が容易に外に突き出して伸びていける柔らかさがある
以上のことから、ティッシュペーパーが植物をバイオテクノロジーの基本であるクローン栽培をするのに最適な資材といえるでしょう。
ちなみに、キッチンペーパーでもいいのですが厚すぎて硬いのと、稀に「ケナフ」という別の原料が使用されているものもあります。これはパルプ(木)ではないのでちょっと違うことが起きるかもしれません。
また、古紙が原料に入っているものもあるので100%清潔とは言えないのです。
トイレットペーパーはさらに品質が低く、ほぼ古紙利用なので清潔ではないといえるでしょう。
考えてみればティッシュペーパーが一番清潔で優しい肌触りになっていますよね?
人工皮膚のようなティッシュペーパーを使えばバラをクローン栽培しまくれる?
挿し木をして18日間経過後、鉢上げして屋外で12日間経過したもの
バラは挿し木で増やすものです。
いや、違います。
接ぎ木です。
もっと進んで、さらに「芽接ぎ」といって他の品種のバラの皮を少しはいでそこに新芽の元の出っ張りだけをカッターではぎとったものを貼り付けてしまうという方法で生産しています。
これは驚くようなことですが、とてもシンプルな生産方法で単純作業です。
別にどってこともありませんし、発根する必要もないのでとても簡単です。
ここでも、「カルス」が登場して、接ぎ木したときに別の植物である台木に自分をくっつける接着剤のような役割を担っています。
正確には、カルスが発生して茎の中の道管を形成する細胞に変化して台木から栄養を受け取れるようになって台木の新芽を切り取ってしまえばその植物体を乗っ取ることができてしまうのでしょう。
技術的には挿し木の方が高度な技術のような気がしますが、接ぎ木は怖いものがあります。
1つのバラの木に多数の品種の枝が生えているという状態も作れるわけです。
何か拒絶反応や免疫反応のようなものが働いていくつも同時に接ぎ木するのは無理なのかもしれませんが、やってることが動物だったら恐ろしいことです。
でも、人間も一般的に人間を生み出すことができるわけですから、植物のクローン栽培なんて大して難しい話じゃありません。
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