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バチルス菌や菌根菌などの生物農薬のバラへの与え方は?
ガーデニングで利用される菌類や細菌類がたくさん登場してきましたのでまとめてみました。
- 菌根菌(きんこんきん):土壌中に存在する糸状菌でアーバスキュラー菌根や外菌根のことを指す。マツタケ、アミタケ、ショウロ、ホンシメジ、トリフなども菌根菌。
- 枯草菌(こそうきん):土壌や空気中に常在する細菌で人間の胃腸管にも存在するグラム陽性のカタラーゼ陽性の細菌。バチルス属の細菌の総称。
- バチルス菌:枯草菌の一種のバチルス チューリンゲンシス菌のことを指す。蚕などの幼虫に害があり「卒倒病」という呼ばれていた。
- 納豆菌:枯草菌の一種で稲の藁に多く生息している。同じバチルス属のバチルス チューリンゲンシス菌とは別の種類だが農薬としての利用が研究されている。
- 根粒菌(こんりゅうきん):マメ科の根に根粒を形成し大気中の窒素を還元して窒素栄養分に変えて植物に渡す真正細菌。
- アスコフィルムノドサム(海藻):アルギン酸、ラミナリン、マンニット、フコイダン等の多糖類やミネラル、アミノ酸、ビタミンなど60種以上の栄養分と天然の植物生長ホルモンの「サイトカイニン」、「オーキシン」、「ジベレリン」を含有している。
このようなものがガーデニングの中で登場してくると思いますが、
菌根菌が菌類で納豆菌やバチルス菌は細菌となっています。
どれも身近に存在する微生物です。
ガーデニングでサプリや農薬のように利用できるのは、菌根菌と枯草菌とアスコフィルムノドサム(海藻)と言えるでしょう。
菌根菌(きんこんきん)について
菌根菌(きんこんきん)の仲間
- アーバスキュラー菌根(VA菌根菌)
- 外菌根
- 内外性菌根
- エリコイド菌根
- アーブトイド菌根
- モノトロポイド菌根
- ラン菌根
デービッドオースチンのローズスタートに含まれている9種類の内生菌根菌と9種類の外生菌根菌というのはこの中から有用なものを選んで配合しているのだと思います。
他の製品で菌根菌を配合したものは少なく、オースチンと同じ菌が配合されているといっているものやVA菌根菌を販売しているものもあります。
いずれも使用できる株数に対して価格が非常に高く高級な資材という位置づけです。
VA菌根菌というのは、アーバスキュラー菌根菌のことでAM菌と呼ばれることがあります。
VA菌根菌は、アブラナ科(ダイコン、キャベツ、ハクサイ、カリフラワー、チンゲンサイなど)、アカザ科(ホウレンソウなど)、ラン科(シンビジュウム、カトレア、デンドロビウムなど)、ツツジ科(ツツジ、サツキなど)には効果がないそうです。
つまり、これらの種類の植物の根には寄生できない種ということになるのでしょう。
ラン科はラン菌根の菌が別にあるからでしょう。
枯草菌(こそうきん)について
枯草菌(こそうきん)の仲間
- バチルス チューリンゲンシス菌
- 納豆菌
- 他
ベニカXガード粒剤に含まれているバチルス チューリンゲンシス菌は農薬としてうどんこ病、黒星病の予防効果が認められています。
根に細菌が出す毒素が作用して葉に抵抗性を持たせるということらしいのですが、このときに植物が病原菌を寄せ付けないように強くなるための植物ホルモンを出して伝達しているという説があります。この毒素は蚕などの幼虫を卒倒させてしまう毒素でした。
納豆菌は葉に直接散布することでうどんこ病などの病原菌を寄せ付けないようにするという民間療法が広まっていました。研究はされていますが農薬として登録はされていません。ただ、新芽には展着剤がないと弾いてしまうので上手く効かないでしょう。
アスコフィルムノドサム(海藻)について
北欧やカナダの海岸に自生するアスコフィルムノドサムという海藻です。
栄養価が高いので肥料以外に健康食品や化粧品に使用されています。また、家畜の飼としても利用されています。
- アルギン酸
- ラミナリン
- マンニット
- フコイダン
- ミネラル
- アミノ酸
- ビタミン
など60種以上の栄養分が含まれていることを考えれば利用シーンは多いはずです。
また、天然由来の植物生長ホルモンも含まれています。
- サイトカイニン
- オーキシン
- ジベレリン
これらは植物に肥料やサプリとして与えると強力で与える量を抑えなければ害がでてしまうこともあるでしょう。
肥料やサプリメントとして植物に与えることで根の成長をよくしたり、樹勢を強くしたり、病気にかかりにくくしたり、花付きをよくしたりすることが考えられます。
植物ホルモンを外部から与えると、成長は目に見えてよくなるはずです。
ただ、外部からホルモンを与えることによって何らかの問題が生じる可能性がないともいえません。
本来は植物体の内部で分泌できるはずのものが、外部から常に供給されている状態が続くと依存症のようになって自分で分泌できなくなってしまっていつまで経っても外部から与えないといけなくなってしまうかもしれません。
また、植物ホルモンに対する反応が鈍くなってしまったら問題です。
これらのことが化学的に問題ないとされているならばいいのですが。
農薬として承認された植物ホルモンは使用方法が厳密に指定されています。屋外に放出してはいけないことになっています。
そのようなことを考えると、ドーピング的なサプリメントといえるのかもしれません。
ただ、アスコフィルムノドサム配合といっているものは植物ホルモンは少しの量しか入っていないものがほとんどだと思いますので過剰に心配することもないでしょう。
農薬の植物ホルモンのように純度が高いものではありません。
菌根菌と枯草菌どっちがいいの?
イングリッシュ・ローズ好きなら菌根菌!
現代化学を信じるなら枯草菌のバチルス菌!
ということになるのでしょうか?
似たようなものだと思っていましたが、だいぶ異なるもののようです。
菌根菌の作用の流れ
- 菌根菌が根に寄生する
- 植物の根と共に共生する
- 根に土中の栄養分を送ってあげる
- 植物からお礼の栄養をもらう
枯草菌の作用の流れ
- バチルス チューリンゲンシス菌が根の周りに届く
- 毒素を作り出す
- 毒素が植物の根を刺激する
- 植物がホルモンを出して葉に病気の抵抗性が出る
これを見て分かるように菌根菌に病原菌に対する抵抗性を上げる作用は確認できないのです。植物が栄養を吸収しやすくなって成長が促進されるということは報告されています。成長が良くなったから結果として病気にかかりにくくなったということが言えるかもしれません。
農薬として承認されたものはありません。
一方、枯草菌は納豆菌は謎のままですが、バチルス チューリンゲンシス菌だけは農薬として病気の予防効果が承認されています。
これは実験の結果が出てきたからです。
今後どのようなものが登場するか分かりませんが、生物農薬は増えるでしょう。
どうして自然界に存在する菌を人工的に与えないと駄目なの?
そうですよね?
これが一番気になります。
自然界の土中に存在する菌や細菌ならばそのままにしておいても勝手にいい感じになってくれるんじゃないかと思います。
マメ科の根粒菌は大豆を植えたからといって根粒菌を撒くわけではありません。勝手に土中の細菌が入り込んで共生しているわけです。
これは植物が細菌を引き寄せるための物質を出しているからではないかという説があります。
このような仕組みがあるならバラの根が勝手に自分を強くする菌を呼び込んでくれるはずです。
松茸も赤松の根元にしか生えませんがこれも同じように赤松が松茸の菌を呼び込んでいるのでしょう。
だとしたら、バラの根が不完全で駄目だからあえて菌根菌を与えるのかもしれません。
オースチンのローズスタートはバラの根を湿らせて菌根菌をこすり付けるわけです。
どう考えても不自然ですね。
また、バチルス チューリンゲンシス菌も毒素が幼虫に効くということは幼虫を栄養分とするつもりだったのでしょう。
だとしたら、バラなどの植物の根にあえて自分から寄っていくかは定かではありません。
でもコガネムシの幼虫が根をかじりに来たときに狙い撃ちをするというのもいい手だと思います。
そう考えると、バチルス チューリンゲンシス菌がターゲットにしていた蚕は葉を食べる幼虫ですので葉などに近い空気中に居た方が都合がいいはずです。根が張るような土中深くにはあまり用事がないように思えます。
とくにバラが病気に弱いと言われるのはこのような本来自然の中で持っていたはずの対抗する手段が使えなくなってしまったからではないでしょうか?
そのままでは成長しづらい程の樹勢になってしまい接ぎ木栽培が基本となってしまったバラです。
本来の自分の足で生きていけないからロボットの足を装着して生きているようなものです。
なんだか、不自然ですね。
そうです。
不自然な交配を重ねて選抜育成することによってとても不自然な品種が登場して人間に都合のいいところだけを見られて人気となったのです。
その代わりに生きていくのが難しいくらい抵抗力が無くなってしまったということが近いかもしれません。
それでもオースチンのバラは病気に強いことを目的の1つに改良されていましたので、本来の野生の力を呼び戻すような動きにはなっていたのだと思います。
オースチンのバラは元から病気に強い品種ばかりです。
バラは過去数百年、数千年の間に富を集めた人が贅沢の象徴として楽しめるように人間から見た魅力だけを伸ばすように改良され続けてきました。
これが植物にとっていいかは、言うまでもありません。かなり悪いです。
バラは美しいけど、こういうのが嫌だと思って始めるのを躊躇していた時期がありました。
本来の力で生きられない、接ぎ木にしないと成長が遅くて駄目だというものを育てるのがなんだか嫌な感じがしてしまいました。
でも、果樹も接ぎ木苗が基本ですし、野菜も接ぎ木苗が多いです。
こんなことからも気にしても無意味なので愉しめばいいと思います。
そんなことを考えると、どうして自然界にある菌や細菌を高配合したものを敢えて与えるかという謎がわかった気がします。
他のほとんどの植物はこんなことをしなくてもいいはずです。
そもそも、庭の植木で農薬が必須というものはありません。
肥料もほとんど無くてもいいはずです。
しかし、バラは肥料がないと多くの品種で害が出てきて綺麗に育ちません。
肥料を与えると同時に農薬も使わないとすぐに駄目になってしまいます。
ようするに根が弱いのだと思います。
そして、オースチンのバラ苗の根はヨーロッパの野ばらであるイヌバラの根であり、国産のバラ苗は日本のノイバラの根になるわけです。
肥料切れを起こして黄色くなってたり、虫にかじられて葉が1枚もなかったり、うどんこ病や黒星病に悩まされているノイバラを見たことありますか?
だったら平気な気もするのですが、なぜでしょう?
なんていうのでしょうか、
「接ぎ木されて上と下が別の種だから伝達がうまく行かないんじゃないの?」
という気もします。
ところで、根は植え付けたときからすごく伸びていきます。
植えるときに生えていた根に菌根菌をこすりつけてもそれだけでは足りないはずです。
共生していきていないと菌根菌は意味がありません。
また、18種類もの菌根菌が1つの植物に必要なのでしょうか?
1つの植物には1種類か少しの特定の種類菌根菌が集まってくるような気がします。
地球上の植物の80%に菌根菌が住み着いていると言われています。
その残り20%の付いていない方になってしまったからバラは病気に弱いのかもしれません。
根に寄生することができないのでしょうか?
いや、与えて効果がでるなら共生できているはずです。
土中の中から菌根菌を自分の根に呼び集めることができないのかもしれません。
しかも、18種類の菌根菌のどれが寄生できるか分からないからこんなに混ぜているのでしょうか?
そんな気がしなくもありませんね。
でも、無菌に近い赤玉土だけで鉢植えでバラを育てようっていうんですから、菌ぐらい追加したほうがいいですよ。
バラへのベストな与え方を考える
以上のようなことをふまえた上で、菌根菌とバチルス菌のバラへの与え方を考えてみると分かりやすいかと思います。
菌根菌の与え方
菌根菌はバラの根まで到達できないから、植え付け時に根にこすり付けるのと用土全体に混ぜておくことで新たに伸びた根が菌根菌に到達できるようにしてやる必要があるのかもしれません。
追肥として与える時は地面に割り箸などで穴を開けて根と接するような深さに与えないと駄目かもしれませんね。
バチルス菌の与え方
そして、バチルス菌は毒素が根に作用するということであれば、水やりや雨によって毒素が流れて根にかかるので根に触れていなくても上部にいればいいような気がします。
となると、
ベニカXガード粒剤の使用方法のように地表に撒くだけでいいと思います。あとはバチルス菌が生きて毒素をたくさん出せるように餌となるタンパク質を与えることです。
それが有機肥料なのかもしれません。
紹介した肥料や生物農薬を買う方法
これらの園芸資材を使いこなせば、立派なロザリアンとして自信を持って言えるでしょう。
ローズスタート
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VA菌根菌
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バチルス菌
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アスコフィルムノドサム(海藻)
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