バラ栽培は難しい?それとも簡単?
やっぱり、バラは最高の園芸品目にして最難関の園芸品目だといえるでしょう。
簡単だとはいってもそれはある条件が重なったときにだけ簡単に育てられると言えるだけで本当は難しいんだなと思いました。
バラ栽培が難しいと思った事例1
住宅街の公園で住民がボランティアで植えているバラ園を見てやっぱり難しいと思いました
中流階級から高級住宅地といった感じのエリアで有名な住宅街の一角に小さめの公園がありました。
その中にバラ園があるのですが、ここのポイントは「住民がバラ苗を買ってきて自分たちで植えて育てている」ということでした。
素晴らしい取り組みだと思いました。
さらには名前をネームプレートに入れられるので地元の企業は宣伝になります。
ところが、これが取り組み自体はとてもいいものでうまいと思うのですが、
肝心のバラの生育状況を見ると、
うまくいっているとはとても言えないような悲惨なものでした。
バラの愛好家の方たちが普段からボランティアで世話をしているはずだと思います。
ちゃんとマルチをして散水ホースも用意されていました。
公園ではなく市民農園のバラバージョンのようでした。
それなのに、、、
なぜ?
ですよ!
そこにあるバラは、
- 害虫による虫食いはほぼない!
- 黒星病にかかって葉が落ちているものがあった!
- うどん粉病はほとんど見られない!
という感じで一部の黒星病の耐病性が低いバラが全ての葉に黒星病を発病しているくらいなのですが、
何よりも驚いたのが、正常そうに見えるバラが1割くらいしかなかったことです。
ほとんどのバラは以下のようなダメージを受けた状態でした。
- 6月なのに新しい枝葉がほとんど伸びていないものがたくさんあった
- 古い太い枝2本に1輪だけ花が咲いているもの
- 太くて長い枝がたくさん地面から1m伸びていてその上に新しい枝が伸びているもの
- 異様に上にだけ長く伸びた木立バラ
- 10年以上栽培して株元が太くなって切り株のようになっているもの
- 古い株元から一切新芽が伸びていないもの
とにかく、残念な姿でした。せっかくのいい取り組みなのにこれではしばらくしたら過疎化とあいまってこの素晴らしい取り組みが終わってしまうことでしょう。
バラ栽培が難しいと思った事例2
大きな管理のしっかりしたスポーツ公園の一角にあるバラ園を見て、やっぱりバラを育てるのは難しいなと思いました。
これはスポーツのための公園といった感じの公園なのですが一角にバラコーナーが作られているところです。
公園は予算が組まれてしっかり管理されているのでお金はあります。
しっかりと雑草は抜かれていますし、芝生はいつでも綺麗にカットされています。ゴミは当然、落ち葉1つ落ちているところを見たことがありません。
それなのに、なぜかそこのバラは悲しい状態でした。
- GWなのにほとんど花が咲いていない!
- 葉がなく枝しか見えない株があった
- 古い株はほとんど開花せず、新しく苗を買ってきて植えたものだけが開花している
- 黒星病やうどん粉病はほとんど見られず
- 害虫に食べられた感じはない
- 小輪系のバラだけが元気に咲いていた
もちろん、管理する人はいるんですが、どう見てもこれはダメだという感じでした。
2つの事例からバラがうまく育たない原因を推測すると?
以上の2つのバラ栽培の失敗事例から考えるとバラを育てるのがどうして難しいのかが見えてくるような気がします。
どちらも知識のない初心者が育てたり管理しているバラではありません。
事例1の場合はバラが好きなバラ愛好家のボランティアがやっていることですし、事例2の場合は仕事として公園を管理している造園の仕事を請け負っている業者がやっていることです。どちらも初心者でも素人でもありません。
つまりどんなに園芸が得意な人がやっても失敗する可能性があるってことなんです。バラ栽培というのはそれくらい難しい面を持っているということになります。
バラのトゲが危ないという以前の問題です。トゲの問題もバラが敬遠される理由の1つでもありますが、それ以上に難しいものがあるとさらに厳しくなってきます。
事例1のケースを考える
事例1
- 害虫による虫食いはほぼない!
- 黒星病にかかって葉が落ちているものがあった!
- うどん粉病はほとんど見られない!
- 6月なのに新しい枝葉がほとんど伸びていないものがたくさんあった
- 古い太い枝2本に1輪だけ花が咲いているもの
- 太くて長い枝がたくさん地面から1m伸びていてその上に新しい枝が伸びているものが多かった
- 異様に上にだけ長く伸びた木立バラ
- 10年以上栽培して株元が太くなって切り株のようになって株元から一切新芽が伸びていないもの
重要な現象にマーカーを引いています。
これを見ると原因として考えられることは、およそ以下のようになると思います。
バラがうまく育たない理由
- 冬の剪定でちゃんと株元まで切り詰めていない
- 肥料を十分に与えていない
- 農薬をしっかり散布していない
以上のようなことがうまく育っていない理由だと考えられました。
小さな公園で住民ボランティアが管理しているとどうしても農薬を使うのをためらう人が多いと思います。
子供がいる家庭の多いので多数派が正義となりますので農薬は悪となったのでしょう。
これでは肥料をたくさん与えるのもリスクがあってできません。
肥料をあげたらセットで農薬を撒いて害が出ないように大きく育てるという、日本の農家のような生産者的栽培方法が大きな花のバラには求められるものです。
事例2のケースを考える
事例2
- GWなのにほとんど花が咲いていない!
- 葉がなく枝しか見えない株があった
- 古い株はほとんど開花せず、新しく苗を買ってきて植えたものだけが開花している
- 太くて長い枝がたくさん地面から1m伸びていてその上に新しい枝が伸びているものが多かった
- 黒星病やうどん粉病はほとんど見られず
- 害虫に食べられた感じはない
- 小輪系のバラだけが元気に咲いていた
事例2のケースも同じことが原因として考えられますが、プロの造園業者が管理してもここまでかというくらい難しい理由があるはずなのでそれを見極めたいと思います。
まずは事例1と同じ理由があります。
バラがうまく育たない理由(事例1と共通)
- 冬の剪定でちゃんと株元まで切り詰めていない
- 肥料を十分に与えていない
- 農薬をしっかり散布していない
これにくわえて、さらに以下の問題が考えられると思います。
バラがうまく育たない理由(事例2に特有)
- 咲いた花柄をカットしていない
- 枝の切り戻しもしていない
- 支柱での補強、誘引がされていない
- 追肥を一切していなそう
たぶん、請負先の業者がコスト重視で公園の芝生の手入れには精通しているけどバラの管理には詳しくない、というか、要員が居ない状態なのだと思います。
公共の経費ですのでできるだけ安く済ませるために人の手配だけを行っているような造園業者を経由してメンテする人を呼んできているのでしょう。
そのため、バラの手入れをする頻度も分からないスポーツが生きがいの公園管理者が発注しているわけですのでこのようなことが起きるのでしょう。
また、公園の他の植物と同じ頻度で手入れするくらいでないとなんでバラだけ優遇するの?ずるいじゃない?
ということになるのでしょう。
基本、忍耐、我慢、筋トレという志向が現れているようです。
ここのバラ園も数年後には取り壊されて、100円の花の苗が植えられた花壇となっているでしょう。
以上のトラブルはお金を取るようなバラ園やボランティアが運営する有名なバラ園ではあり得ないこと
バラにはバラの管理専門の要員が必要です。
メンテする人にはちゃんとした知識とどのように仕立てたいかをしっかりとイメージできるプロが必要です。
そんなわけで、中途半端にただ高いバラの苗を買ってきて植えました。
はい、じゃあ、皆さんみてください!
ということにはできないわけです。
そして、これは一般家庭のガーデニングとして育てるときにも障壁となるような難しい理由なのです。
一般家庭も公園も同じです。
バラ専門の造園業者やバラ栽培を生きがいとするベテラン愛好家でもありません。
なんだか、悲しいですね。
こんなに難しいバラを簡単に育てる方法ってないのでしょうか?
次回はバラを簡単に育てる方法を紹介します。
と思いましたが、勿体ぶらないので今紹介することにします。
まずは新しい品種を選ぶこと
新しい品種は耐病性は育てるときに何もしなくても大きな花でもよく咲くように改良されています。それでいて香りもいいのでおすすめです。
この時点で半分は勝利したといえます。
農家になったつもりで有機肥料と農薬をバンバン使う!
日本の農家になったつもりで、現代の健康志向に合わせて有機肥料と農薬を使ってどんどん肥大化させていきましょう。
大きくて甘い野菜を作るつもりでバラを育てるとうまくいくでしょう。
でもIB化成でも、即効性でも化成肥料はおすすめしません。
どれだけいれても根焼けしない有機肥料と農薬を使って美味しく育って、大きく育ってと願いながら育てることです。
躊躇せずに好きなだけ切り戻すこと!
肥料を与えて光が当たっていれば、株が元気なのでいくら木をカットしてもいくらでも再生してきます。
これは雑木林の木を根元からカットしてもいくらでも横から再生してくるのと一緒です。
とくに冬の剪定では本当にリセットするつもりで株元ギリギリでカットしてもいいくらいです。
カットする位置が上になるほど、カットした位置よりも上にしか新しい枝葉が伸びません。
こんなことは当たり前なのですが、
「バラは前年に伸びた枝の半分を切り戻すように」
と書いてある園芸ショップの解説ばかりです。
そんなことしてたら、毎年毎年、エンドレスに枝は細く天高く伸びていくことになります。木立バラなのに。
こういったことを真面目に聞いてやっているとうまくいかず、結局、どうしていいか分からないといことになります。
本当に古い枝しかなくても構わず根元からばっさりいかないと、どんどん上に長く伸びてしまいます。
次第に株元は太い木のようになって枝はなくなり、本当に何も生えてこなくなってしまいます。
こうなってからでは遅いものです。
前の年に育った分が台無しになる?
そんなことを考えているから無理なんです。
結局は、正しい園芸情報がないからこういうことになるのでしょう。
育成段階のバラに置いては前年の枝を残して切り詰めるくらいがいいのかもしれませんが、ちゃんと観賞価値が高いバラとして育てたいなら、株が元気な状態のときにしっかりと株元から切り戻すことです。
これで枯れるリスクが0ではありません。
枝長1cm程度の10本の枝になるまで切り詰めても大丈夫だと説明しているプロもたくさんいます。
こういうのはとても大事なことです。
でも、とりあえず、枯らしたら責任問題や苦情を言われるということを考えるとSHOPは誰も言わないのかもしれません。
毎年冬に枯れる宿根草だと考えれば、上部を全部カットしても何の問題もないような気もします。
でも、これは木としては不自然な話です。
あきらかに農業的に何かを収穫するために毎年毎年、切り詰められている果樹なんかにも近いものがあります。
こういうことを踏まえて考えると、肥料と農薬とという人工的な力を使って無理やり成長させているというのが正しい表現なのかもしれません。
それにしても、綺麗で香りのいい大きなバラは人間のために人工的に交配して作らせたものです。
ここで自然農法とかいっているのは違うと思います。
自然と不自然をうまく使い分けましょう。
気になるページ

草と花と自然の力を取り入れて元気になりましょう。
少し変わった園芸情報を発信しています。一般的な栽培方法と異なるものもあります。
標準的な栽培方法は農協のお店などでお聞き下さい。